7.「日本国際仲裁センター」(仮称)の構想
前記のとおり国際仲裁研究会の1999年(平成11年)の報告書において(提言1の末尾)、「既存の仲裁機関を人的・物的設備等の面で支援することを目的とする「国際仲裁センター」の将来的設立も視野に入れた具体的な諸問題も協議・検討するべきである」と提言されてから16年以上が経過している。その間に東南アジアの諸国では類似の構想が着実に現実化されるに至っている。
今後は我が国においても前記提言を実行に移し、東南アジアの諸国のように、政府、自治体、経済団体等の財政的支援を得て「日本国際仲裁センター」(仮称)を設立し、日本を東南アジアにおける国際紛争解決のセンターにすることを目指すことが喫緊の課題となっている。
まず、前記諸外国のようなセンターを設立し、バイリンガルスタッフを含む事務局の常置、国際紛争解決方法に関する情報の収集を行ない、仲裁法廷、仲裁人控室、当事者控室、同時通訳設備、テレビ会議システム等の設備、資料の翻訳等のサービスも充実させ、これらを、JCAAを含む日本のあらゆる国際ADR機関が利用可能とする。そして、日本から世界に対し、日本において国際紛争を解決しうる人的・物的設備のあることを広報活動により周知されるようにして、日本における国際仲裁等の事案を増加させるとともに、諸外国の同等の機関とも協力関係を発展させる(当事者の国以外の第三仲裁地として選択されることも可能)ことが必要と思われる。
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