5.急がれる日本のインフラ整備
戦後日本の産業が急速に発展したのは、いわゆる「護送船団方式」といわれる官民一体となっての産業振興策が功を奏したからであると言われている。
ジェトロ(JETRO)等の外郭団体が世界各国の必要な情報を収集し、それを必要な企業に提供したり、連携先の紹介等現地での様々な支援を提供したことなどがその例である。
しかしながら、本来は司法分野に属すると考えられる法的紛争の解決は政府の産業振興支援の主たる対象に含まれていなかった。そのため日本企業が力をつけ輸出が輸入を大幅に上回る頃になると、日本企業に対する攻撃が増え、多くの日本企業が外国の取引先との紛争で苦労することとなった。
1970年~1980年代においては海外進出をしていたのは主として巨大企業であり、かかる場合には社内のスタッフにも語学ができ法学部出身の優秀な社員がいたことから、内外の法律事務所と協力を得て海外での訴訟、仲裁案件等の処理もされてきた。 欧米では国際経済取引で重要なのはその紛争解決方法が整備されていることであるといわれている。このような意味でも日本の企業にとって日本の国際経済紛争解決のための仲裁機関等のインフラ整備は急を要する問題である。特に中小企業の場合は社内の法務スタッフも充分とは言えず、海外での活動経験も限られている。
今後当事者となる日本企業も大企業に限られないことから国際仲裁機関等のサービスに依存する程度もより大きくなると思われる。
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